輸血・再生医療部門

プロジェクト紹介

培養骨膜移植による歯周病治療/厚生労働省ヒト幹細胞臨床研究審査承認
歯周病の歯は抜かずに再生医療で治す‐歯周病科が行っている再生医療[診療科]歯周病診察室 [対象疾患]歯周炎

背 景

高齢化社会を迎えて、義歯などではなく自分の歯で噛み食べたいという願望はますます高まっています。今や国民病ともいえる歯槽膿漏などによる歯周炎の克服は“健やかに老いる”ために不可欠な医療といえます。

歯周病再生医療の実際

歯周炎により破壊された歯槽骨吸収部位の骨再生に対して、培養骨膜シートを用いた歯槽骨再生治療を行っています。治療方法は、当該被験歯の隣接歯に及んで歯肉溝切開を加え、全層弁にて剥離し、徹底的なデブライドメントを行うというものです。多血小板血漿とハイドロキシアパタイト複合体を移植し、さらにその上から培養骨膜シートを、移植材を完全に覆うように静置し、歯肉弁を復位させ、その後縫合、歯周包帯をして2週間後に抜糸しました。半年後の予後を観察すると、多血小板血漿とハイドロキシアパタイト複合体だけの移植に比べて、有意に歯槽骨量および付着の獲得量が増加していることが明らかとなりました。

これまでの実績

30症例以上を施術して5年以上の経過を経た症例も出てきていますが、有害事象等は生じていません。本治療法の効果のメカニズムは、従来の多血小板血漿とハイドロキシアパタイト移植の効果に加えて骨芽細胞に分化しうると考えられる骨膜細胞が生物学的に作用し、同時にシートのもつ物理的性状により、上皮の深部増殖に対する遮断膜として機能したことが考えられます。

このプロジェクトの意義と将来

培養骨膜シート+多血小板血漿+ハイドロキシアパタイト移植は、従来の各科別に行われていた医療としてとどまるのでのでは無く、歯学部倫理委員会、および医歯学総合病院、医薬品・医療機器臨床研究審査会(IRB)の審査を通過し、生命科学医療センター輸血・再生医療部門(CPR:Cell Processing Room)の中核的再生医療として展開されていることに重要な意義があります。今後、歯の喪失後に生ずる低歯槽堤症、外傷やのう胞・腫瘍性病変の結果生ずる歯槽骨顎骨欠損症例を対象として、培養骨膜を用いた歯槽骨・顎骨組織再生療法を計画しています。

患者からの骨膜採取と培養骨膜シート
培養骨膜シート移植手術
培養骨膜移植手術

■歯周病における再生医療の症例 >>

 

再生医療による歯周病の治療は、他の治療法よりも遥かに優れていることを実証しました。奥田一博 新潟大学大学院医歯学総合研究科摂食環境制御学講座歯周診断・再建学分野

培養骨膜シートを用いた歯周組織再生療法の長期予後

培養骨膜(CP)シートを自己多血小板血漿(PRP)とハイドロキシアパタイト(HA) 顆粒複合体とともに歯周骨内欠損に応用し、5年予後について検討した。
22名の患者で6mm以上のポケット(PD)と6mm以上の付着レベル(CAL)、エックス写真より3mm以上の骨内欠損(IBD)を示す22部位が対象とされた。患者の付着歯肉下より骨膜小片を採取後、6週間培養してCPシートを得た。これを掻爬した骨内欠損部にPRPとHA顆粒複合体の上に被覆するように設置した。
歯周ポケット深さ、付着レベル、エックス線的骨欠損深さについては、ベースラインと比較して1年目で統計学的に有意に改善し、その効果は5年経過後も維持されていた。とりわけ骨欠損深さについては3年目、5年目と有意な改善がみられたことから、経年的に骨の成熟が促進されていることが明らかとなった(図)。
本治療法は、歯周骨内欠損の改善に有効で長期間経過してもその効果が安定して維持されていた。要因として骨膜細胞の骨分化誘導能が効果的に作用していると思われる。

なお、本治療法は、この度 厚生労働省ヒト幹細胞臨床研究審査委員会の承認を得ました。

歯周組織再生療法の長期予後
歯周組織再生療法の長期予後

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